在留資格が「特定活動」だった場合、外国人を採用し働かせてもよいのか迷ってしまうかもしれません。特定活動にはさまざまな在留目的があり、それぞれ就労させてよいのかどうかが違います。

この記事では在留資格の「特定活動」とはなにか、就労制限はないのか、就労させてもよいか確認する方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。

※記載内容は2023年12月現在のものです。

特定活動とは

特定活動とは

「特定活動」とは在留資格の1つで、法務大臣が個々の外国人に対して活動を指定する資格です。
出入国管理及び難民認定法では、外国人が在留資格によって行える活動を制限しています。
しかし、内容を限定してしまうと外国人の活動範囲が狭まってしまうため、個々の活動ごとに許可を取得できるようにしたのが「特定活動」です。

特定活動の種類

特定活動の種類

在留資格「特定活動」は大きく2つに分類できます。

  • 告示特定活動
  • 告示外特定活動

それぞれについて解説します。

告示特定活動

告示特定活動は、在留資格に定められていない活動を個別に許可するためのものです。そのため、個別の職種について許可基準があり、告示で特定活動として認められる条件が記載されています。また、社会情勢を加味して規定されるため、時勢によって削除されたり取得が困難になったりするものもあります。
たとえば、告示9号のインターンシップでは、次のような条件を満たさなければいけません。

  • 企業から報酬を得る活動に従事すること
  • 外国人が働ける期間は1年未満で在学中の修業時間の2分の1を超えてはいけない

このように、それぞれの告示ごとに特定活動の条件が決まっています。
なお、告示特定活動に該当するものは次のとおりです。

番号 内容 備考
1号,2号,
2号の2,
2号の3
外交官、高度専門職、経営・管理などの在留資格を持つ外国人の家事使用人 雇用主の外国人が使用する言語で日常会話ができ、18歳以上でなければ適用されない
2号、2号の2、2号の3については18歳以上、月額20万円以上の報酬を受けていること
3号 台湾と日本の関係協会の在日事務所職員とその家族
4号 駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族
5号の1,
5号の2
ワーキングホリデー 旅行資金を補うためであれば、必要範囲内で報酬を受けることができる
ワーキングホリデーを利用する場合、年齢制限や1年以下の休暇であるなどの条件がある
※イギリスは2年以下
6号
7号
アマチュアスポーツ選手
アマチュア選手に扶養されている配偶者や子ども
オリンピックや国際大会に出場経験があり、日本の機関に月額25万円以上で雇用されていなければならない
8号 国際仲裁事件の手続きの代理人である弁護士
9号 インターンシップ 外国人大学生が、1年を超えない期間で、かつ、通算して当該大学の修学年限の2分の1を超えない期間内、業務に従事できる
教育課程の一部として、大学と日本の機関の契約に基づき、報酬を受けていることが必要
10号 イギリス人ボランティア 1年を超えない期間、福祉に関わるボランティア活動
12号 サマージョブ 外国人大学生の短期インターンシップ
短期とは3ヶ月を超えない夏季休暇期間のこと
15号 国際文化交流を行う外国人大学生 外国人大学生が、地方公共団体が実施する国際文化交流を目的とした事業に参加し、日本の機関から報酬を受けて夏季休暇など大学の授業がない3ヶ月を超えない期間で、日本の小・中学校などで国際文化交流の講義を行うこと
16号,17号,18号,19号 インドネシア人の看護研修生・介護研修生およびその家族 二国間の経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係
20号,21号,22号,23号,24号 フィリピン人の看護研修生・介護研修生およびその家族 二国間の経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係
25号
26号
医療滞在
その同伴者
日本の病院で入院・治療を受けるための滞在
その医療滞在の治療を受ける外国人の日常生活の世話をする同伴者
27号,28号,29号,30号,31号 ベトナム人の看護研修生介護研修生およびその家族 二国間の経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係
33号
34号
高度専門職外国人の就労する配偶者
高度専門職外国人又はその配偶者の親
従事可能な就労活動には制限がある
高度専門職外国人や高度専門職外国人の配偶者の親
配偶者の親は世帯年収800万円以上の高度専門職外国人と同居してその外国人の7歳未満の子どもをサポートするなどの条件がある
35号 外国人造船労働者 国土交通大臣が認定した計画に基づいた雇用契約に従事する場合
36号 特定研究等活動 高度の専門的知識を必要とする特定の分野に関する研究、研究の指導若しくは教育活動または当該活動と併せて関連する事業を自ら経営する場合
37号 特定情報技術処理活動
38号
39号
36号・37号の在留者に扶養される配偶者や子ども
36号・37号の在留者またはその配偶者の親
40号,41号 観光や保養等を目的とする長期滞在者とその同伴者 18歳以上、1年を超えない期間の活動
国籍や預貯金3,000万円以上、保険加入という条件がある
42号 製造業外国従業員受入事業における特定外国従業員 経済産業大臣が認定した計画に基づき、海外事業所の外国人職員が、技術及び知識を身につけるため日本の生産拠点で製造業務に従事する活動
43号 日系四世 日系四世であればよいというだけでなく、日本語を習得する目的などが必要
2年を超える在留の場合には一定の日本語力が必要
44号,45号 外国人起業家とその配偶者または子 外国人起業活動管理支援計画に基づき、起業準備活動の認定を受けた外国人が、一年を超えない期間で、事業開始の準備活動や付随して行う報酬を受ける活動等
46号,47号 日本の4年制大学卒業生でN1以上の日本語力を有する外国人とその扶養を受ける配偶者や子ども 日本の大学・大学院で習得した知識や能力を活用した業務に従事する活動が認められる
50号 スキーインストラクター
51号,52号 未来創造人材外国人
未来創造人材外国人の配偶者等
優秀な海外の大学を卒業した人が就職活動や起業準備をする場合最長2年の在留期間が認められる
在留資格「特定活動・未来創造人材」が付与される

※告示特定活動は頻繁に追加・削除されたりするため、内容はよく確認する必要があります。

上表の中でも、よく申請されるものをいくつか詳しく紹介していきます。

5号:ワーキングホリデー

ワーキングホリデーとは、二国間の取り決めに基づき、青少年が一定期間、休暇や観光等を目的として滞在し、その間の旅行・滞在期間を補うための就労を認める制度です。文化と一般的な生活様式を知り、相互理解を深めることを目的としています。

ワーキングホリデー制度は1980年にオーストラリアとの間で開始され、2023年8月1日現在は29カ国・地域との間で導入されています。

要件は国・地域によって多少の違いがありますが、主として休暇を過ごす趣旨であること、18歳以上30歳以下と年齢制限があること、滞在当初の期間の生計維持に必要な資金を所持することが必要です。ワーキングホリデーが認められるのは一度のみで、申請手続きは当該相手国・地域の日本大使館等に行います。

休暇が主たる目的になるため、就労はあくまで滞在期間中に必要な旅行資金を補うための付随的なものが認められます。また、風俗営業等の事業所で働くことはできません。

ワーキングホリデーの外国人は、在留したまま就労可能な在留資格に変更することができない場合があります。ワーキングホリデー中のアルバイトから正社員に採用したい場合は、一度帰国してもらい、「在留資格認定証明書交付申請」で日本に招聘します。

9号:インターンシップ

インターンシップとは、外国の大学生が教育課程の一部として、日本の機関から報酬を受けて、1年を超えない期間かつ大学の修業年限の2分の1を超えない期間内、当該機関の業務に従事する活動を行うことです。

インターンシップ生の受け入れは、外国の大学と受け入れ機関となる日本の企業等の間で契約を結びます。あくまで教育課程の一部ですから、インターンシップで習得する知識・経験等が学業の一環として評価されるよう、大学で専攻している科目と関連する業務に従事することが必要です。単純労働が主となるものは認められません。

報酬額等について制限は設けられていません。報酬がない場合は、滞在期間が90日を超えるときは「文化活動」、90日以下は「短期滞在」の在留資格となります。

46号:本邦大学卒業者

特定活動46号は、日本の四年制大学以上の卒業者が、修得した知識・応用的能力のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認める在留資格です。

2019年5月から加わった比較的新しい就労資格で、外国人留学生の日本での就職支援を目的として設けられました。ただし、日本の四年制大学を卒業し日本語能力試験N1以上取得という要件を満たす外国人ならば、留学に限らず他の在留資格からの変更も可能です。

技術・人文・国際業務との大きな違いは、特定活動 46 号は、必ずしも学部・専攻と関連している必要はなく、日本人同様に現場経験をさせながらキャリアを形成する働き方が可能となることです。技術・人文・国際業務では、大学等で学んだ高度な知識を活用する仕事であることが条件となり、専攻科目と業務内容の関連性が必要不可欠となります。

例えば、小売店において、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客販売業務を行う活動が認められます。ただし、業務内容が商品の陳列や店舗の清掃のみは認められません。

転職は可能ですが、特定活動46号は会社が指定された在留資格となるため、転職時には在留資格変更許可申請が必要となります。

告示外特定活動

告示外特定活動とは、告示特定活動に該当していない活動でも、法務大臣が特別な事情を考慮して認めた特定活動のことです。

告示外特定活動には、次のようなものがあります。

  • 在留する外国人の高齢になった両親の呼び寄せ
  • 就職先が決まらないまま卒業を迎えた留学生の就職活動
  • 在留資格の更新が不許可となり出国しなければいけないときの準備

上記のための活動は特定活動とみなされ、在留が許可されるケースもあります。
ただし、審査を経なければならないため、確実に許可されるわけではありません。

特定活動ビザの在留期間

特定活動ビザの在留期間

特定活動のビザの在留期間は、次のとおりです。

  • 5年
  • 3年
  • 1年
  • 6か月
  • 3か月
  • 法務大臣が個々に指定する期間(最長5年)

在留資格「特定活動」の在留期間は、在留の目的が達成される期間や各告示で認められる期間などを考慮し決定されます。

そのため、特定活動と一言でいっても、認められる在留期間は個別に異なります。在留期間を決定するのは、外国人ではなく、審査をする法務大臣です。

特定活動ビザの就労制限は?

特定活動ビザの就労制限は?

特定活動のビザには就労できる人とできない人がいます。
特定活動の内容により異なり、大まかに次のように分けられます。

  • どこの企業でも就業が可能
  • 指定された企業のみで就業が可能
  • フルタイムで就業が可能
  • 週28時間までなら就業が可能
  • 就業不可

このように就業の可否が異なるのは、在留を認めている理由に違いがあるからです。
在留資格の目的外の仕事に就くことは、原則禁止されています。
目的外の仕事に就くときには、資格外許可を取得しなければいけません。資格外許可を取得するためには、住居地を管轄する出入国在留管理庁に申請し許可を取得します。

提出する書類は次のとおりで、本人が申請する場合、費用はかかりません。

  • 資格外活動許可申請書(法務省のホームページからダウンロード可能)
  • 当該申請に係る活動の内容を明らかにする書類(在留資格や許可の種類によって異なります)
  • 在留カード
  • パスポート

また、就業制限は正社員だけでなく、アルバイトでも同様です。在留資格で就労が許可されていない場合は、アルバイトとしても働けません。

なお、資格外許可には包括許可と個別許可があります。包括許可と個別許可の違いは、次の表のとおりです。

許可名 許可内容
包括許可 勤務先を指定せずタイムカードで仕事時間が管理できる職種
一部を除きほとんどの職種に就ける
週28時間以内という時間制限がある
個別許可 勤務先や内容や条件を個別に指定
タイムカードで仕事時間が管理できない職種や留学生が週28時間を超えたインターンシップを行う場合などに取得

資格外許可を取得している場合には、在留カードの裏面の資格外活動許可欄に記載されます。

特定活動ビザでの就労可否を確認する方法

特定活動ビザでの就労可否を確認する方法

在留資格「特定活動」での就労可否を確認する方法は、次のとおりです。

  • 在留カードで確認する
  • 指定書で確認する

特定活動ビザでの就労可否は、在留カードや指定書で確認できます。
ここからは、どのような方法で就労可否を確認すればよいのかについて解説します。

なお、外国人採用で注意すべき点について、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

外国人採用の6つの注意点!外国籍雇用のリスクと確認事項を解説

本記事では、外国人を採用する際の注意点を6つ解説します。外国人人材を雇用したいと思いつつ、煩雑な手続きに苦戦している方に特に役立つでしょう。

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在留カードで確認する

特定活動ビザでの就労可否は、在留カードで確認が可能です。
まず、在留カードの表面にある「就労の有無」欄を確認します。

在留カード

次のいずれかが記載されています。

  1. 在留資格に基づく就労活動のみ可
  2. 指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可
  3. 指定書により指定された就労活動のみ可
  4. 就労制限なし
  5. 就労不可

上記のうち1~4は就労が可能であるという記載です。
ただし、無制限に就労できるのは4だけであり、1~3は就労制限があります。
なお、2と3の指定書については次項で解説します。

そして、5の場合、原則就業は不可です。
しかし、資格外許可を取得していれば在留カードの裏面に別途記載が加わります。

裏面には資格外活動許可欄があり、次のような記載がされます。

  1. 許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)
  2. 許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)

上記のような文言が裏面に記載されているときには、表面に就労不可と記載されていても働けます。
2の記載がある場合は資格外活動許可書を外国人から見せてもらい、書類に載っている内容の仕事に就かせられます。

指定書で確認する

在留カードの表面に「指定書に基づく就業なら可能」という文言が記載されている場合には、指定書を確認し、就業できる職種を確かめましょう。

指定書はパスポートに添付される書類のため、外国人の選考時には在留カードとともにパスポートを持参するように伝えなければいけません。

指定書には、次の項目が記載されています。

  • 氏名
  • 国籍
  • 就労できる職種や時間

なお、指定書に「報酬を受ける活動を除く」と記載されている場合は、就業不可です。

まとめ

外国人採用は専門サポートで安心の転職エージェントBluee(ブルー)

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在留資格「特定活動」とは、法務大臣が個々の外国人に対して在留の活動を指定するものです。特に注目したいのは、優秀な外国人が日本に滞在し就労できるよう、特定活動46号や51号が創設されたことです。日本は人手不足を解消しかつ産業を発展させるために優秀な外国人材の確保を進めています。

特定活動の内容は多岐に渡り、在留目的や期間、就労させてよいのかどうかもそれぞれの活動で異なります。しかし、在留カードや指定書を見れば、特定活動で就労が認められているかが確認できます。

在留資格「特定活動」を持つ外国人が採用面接に来たときには、在留カードや指定書をしっかりとチェックし、就労できるか判断しましょう。

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