日本のビジネスシーンでは、経験豊富な人や専門家に対して、すでに知っているであろう内容を説明する行為を「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」と表現することがあります。

この記事では、「釈迦に説法」の意味、使われる場面、具体的な使用例、使用時の注意点、そして類語について解説します。

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」の意味

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」の基本的な意味

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」とは、自分よりもその分野に精通している人に対して、改めて説明をすることの無意味さや愚かさを表す表現です。
この表現は仏教に由来します。「釈迦(しゃか)」は仏教の開祖であり、「説法(せっぽう)」は仏の教えを説くこと、つまり、仏教の祖である釈迦に対してその教えを説くことを意味します。

英語では “Teaching one’s grandmother to suck eggs”

などと表現されます。

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」の具体的な使用例

以下に、「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」の具体的な使用例を紹介します。

例文1:釈迦に説法かとは思いますが、この手法は非常に効果的であることがわかっています。

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“I know this might be teaching a master, but this method has been proven to be very effective.”

例文2:釈迦に説法ではございますが、詳細について説明させていただきます。

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“I apologize if this is redundant, but let me explain the details.”

例文3:このようなことは部長には釈迦に説法でした。大変申し訳ございません。

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“I realize this was unnecessary to explain to you, Manager. I sincerely apologize.”

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」を使用する際の注意点

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」を使う際には、自分自身に対して使うと横柄な印象を与える可能性があるため、注意が必要です。自分が相手よりも優れた知識や経験を持っていることを暗に示すように聞こえるためです。
相手の立場や気持ちを考慮し、より丁寧で謙虚な印象にするには、以下のように言い換えると良いでしょう。

×言い換え前:「私にこの分野の話をするのは釈迦に説法ですよ。」
   ↓
〇言い換え後:「その点については、すでに詳しく存じておりますので、どうぞご安心ください。」

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」の言い換え・類語

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」の言い換え・類語としては、以下のようなものがあります。

釈迦に経(しゃかにきょう)

「釈迦に経(しゃかにきょう)」とは、「釈迦に説法」と同じ意味で、仏教の権威である釈迦に経典を説くことを指します。つまり、専門家にその分野の知識を教える無駄な行為を意味します。

例文1:経理の専門家に会計の基本を説明するなんて、釈迦に経だね。

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“Explaining accounting basics to a financial expert is like preaching to Buddha.”

例文2:ITのプロにパソコンの使い方を教えるのは、釈迦に経だ。

英語で意味を確認!

“Teaching a computer expert how to use a PC is like preaching to Buddha.”

孔子に悟道(こうしにごどう)

「孔子に悟道(こうしにごどう)」とは、儒教の開祖である孔子に対して人の道を説くという意味で、知識や経験が豊富な人に対してその分野の知識や悟りを教えることの無意味さを表します。

例文1:教育のプロである先生に学習法を教えるなんて、孔子に悟道だよ。

英語で意味を確認!

“Teaching a learning method to a professional teacher is like enlightening Confucius.”

例文2:哲学者に人生の意味を説くのは、まさに孔子に悟道と言える。

英語で意味を確認!

“Explaining the meaning of life to a philosopher is like enlightening Confucius.”

河童に水練(かっぱにすいれん)

「河童に水練(かっぱにすいれん)」とは、泳ぎが得意な河童に水泳を教えること、つまり、熟練者や専門家にその分野の基本を教えるような状況を指します。この表現は「釈迦に説法」と同じく、専門家に対してその道の知識を教える無駄を意味します。

例文1:営業のプロである彼に営業トークを教えるのは、まさに河童に水練だ。

英語で意味を確認!

“Teaching sales talk to a sales expert like him is just like teaching a fish to swim.”

例文2:料理長に包丁の使い方を教えるのは、河童に水練というものだ。

英語で意味を確認!

“Teaching a head chef how to use a knife is like teaching a fish to swim.”

猿に木登り(さるにきのぼり)

「猿に木登り(さるにきのぼり)」とは、木登りが得意な猿に木登りの方法を教えることを意味します。つまり、すでに詳しい人や得意な人に、その分野の基本を教えるという無駄な行為を指すときに使われます。

例文1:プログラマーの彼にコーディングの基本を説明するなんて、猿に木登りだね。

英語で意味を確認!

“Explaining coding basics to a programmer like him is like teaching a monkey to climb a tree.”

例文2:英語が流暢な彼女に英会話のレッスンをするなんて、猿に木登りだと思います。

英語で意味を確認!

“Giving English conversation lessons to someone fluent like her is like teaching a monkey to climb a tree.”

まとめ

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」とは、自分より詳しい人に説明する無意味さを表す言葉です。似た意味を持つ類語もたくさんあるので、適切に言い換えることで、会話にバリエーションを持たせることができるでしょう。