失念とは、日本のビジネスシーンにおいて「失念しておりました」のように使われます。ビジネスメールでもよく使われる言葉ですが、その意味やニュアンスをご存じですか?
この記事では、日本のビジネスシーンで使われる用語「失念(しつねん)」について、その意味や使われる場面、具体的な例を紹介します。

「失念(しつねん)」の意味

「失念(しつねん)」の基本的な意味

「失念(しつねん)」という言葉は、もともとは仏教の用語で「心を散らかす煩悩の一つ」を表す言葉ですが、日本のビジネスシーンでは「何かをうっかり忘れること」を指します。また、この言葉には同時に「申し訳ない」という謝罪の気持ちや、お詫びの意味合いも含まれます。

英語では”forget”や”slipped my mind”
ベトナム語では”quên”
韓国語では”잊어버리다”

と表現されます。

「失念(しつねん)」がよく使われる場面

「失念(しつねん)」がよく使われる場面は、以下のとおりです。

  • ビジネスシーンにおいて、仕事の指示や依頼を忘れていた場合
  • ビジネスシーンにおいて、約束や会議の時間を忘れていた場合
  • ビジネスシーンにおいて、重要な連絡や報告を忘れていた場合

「失念(しつねん)」の具体的な使用例

以下に、「失念(しつねん)」の具体的な使用例を紹介します。

例文1:「会議の時間を失念しておりました。」

英語で意味を確認!

“I forgot the time of the meeting.”

ベトナム語で意味を確認!

“Tôi đã quên mất thời gian họp.”

韓国語で意味を確認!

“회의 시간을 잊어버렸습니다.”

例文2:「彼の名前を失念してしまった。」

英語で意味を確認!

“I forgot his name.”

ベトナム語で意味を確認!

“Tôi đã quên mất tên anh ấy.”

韓国語で意味を確認!

“그의 이름을 잊어버렸습니다.”

例文3:「その詳細はすっかり失念してしまった。」

英語で意味を確認!

“I completely forgot the details.”

ベトナム語で意味を確認!

“Tôi đã hoàn toàn quên mất chi tiết đó.”

韓国語で意味を確認!

“그 세부사항은 완전히 잊어버렸습니다.”

「失念(しつねん)」を使用する際の注意点

「失念(しつねん)」という言葉を使用する際は、以下の点に注意しましょう。

カジュアルな場面での使用には合わない

「失念(しつねん)」という表現は少し硬いため、カジュアルな場ではもっとくだけた表現に言い換えた方が自然です。

言い換え前の例文:昨日、一緒に映画に行く約束を失念していて、ごめんね。
言い換え後の例文:昨日、一緒に映画に行く約束を完全に忘れてた。ごめんね。

相手の行動に対しては使用しない

「失念(しつねん)」は、あくまでも自分自身の行動に対して使うべきであり、他人の行動に対して使うのは不適切なので注意しましょう。

言い換え前の例文:山田さんが報告書を提出するのを失念されたようです。
言い換え後の例文:山田さんが報告書を提出するのを忘れてしまったようです。

「失念(しつねん)」の言い換え・類語表現

「失念(しつねん)」の言い換え・類語表現としては、以下のようなものがあります。

忘却する(ぼうきゃくする)

「忘却する(ぼうきゃくする)」は、過去の記憶や事柄が意識から消えることを指します。ビジネスシーンでは、重要な情報や約束を「忘却する」と表現することで、無意識に忘れてしまったことを示す場合があります。

例文1:プロジェクトの詳細を忘却してしまい、再確認が必要になりました。

英語で意味を確認!

“I had forgotten the details of the project and needed to reconfirm.”

例文2:会議の日程を忘却していたため、参加できませんでした。

英語で意味を確認!

“I had forgotten the schedule of the meeting and could not attend.”

忘失する(ぼうしつする)

「忘失する(ぼうしつする)」は、記憶や事実をすっかり忘れてしまうことを表します。この表現も「忘却する」と同様に、ビジネスシーンで過去の情報や約束事を忘れてしまった状況を表すのに使用されます。

例文1:重要な契約の条項を忘失してしまい、トラブルが発生しました。

英語で意味を確認!

“I had forgotten an important clause of the contract, which caused some trouble.”

例文2:顧客の要望を忘失すると信頼失墜の原因になる。

英語で意味を確認!

“Forgetting customer requests can lead to a loss of trust.”

放念する(ほうねんする)

「放念する(ほうねんする)」は、主に「ある考えや希望を諦める」「気にかけていることを意識から外す」という意味で使用されます。ビジネスシーンにおいては、相手に対して「これ以上問題を気にしないで欲しい」や「もうその件は忘れて進んでください」と伝える際に使われることがあります。

例文1:その不具合はすでに修正済みですので、ご放念ください。

英語で意味を確認!

“The issue has already been fixed, so please put it out of your mind.”

例文2:その誤解はすでにクリアにしましたので、ご放念ください。

英語で意味を確認!

“We have already cleared up that misunderstanding, so please let it go.”

見落とす(みおとす)

「見落とす(みおとす)」は、注意が足りずに何かを見逃すことを意味します。ビジネスシーンでは、重要な情報や問題点を誤って見逃してしまう状況を指す際などに使われます。

例文1:契約書の小さなエラーを見落としてしまい、訂正が必要となりました。

英語で意味を確認!

“I overlooked a small error in the contract and needed to make a correction.”

例文2:報告書の重要なデータを見落とすと、分析の誤りにつながる。

英語で意味を確認!

“Overlooking important data in the report can lead to analytical errors.”

うっかりする

「うっかりする」は、不注意から何かを忘れるまたは見落とすこと。日常的なビジネスシーンで、小さなミスや忘れ物を指す際に用いられますが、フォーマルな状況ではあまり使われません。

例文1:重要な会議の時間をうっかりしてしまい、遅れてしまった。

英語で意味を確認!

“I carelessly forgot the time of the important meeting and was late.”

例文2:うっかりしてメールの返信を忘れていました。

英語で意味を確認!

“I carelessly forgot to reply to the email.”

ど忘れする(どわすれする)

「ど忘れする(どわすれする)」とは、一時的に特定の情報が思い出せなくなることを指します。主に日常会話で使われる表現で、急に思い出せなくなる短期的な記憶喪失を意味します。しかし、ビジネス文書や公式な場ではあまり適切ではなく、通常は使われません。

例文1:先ほど話していた内容をど忘れしてしまい、困っています。

英語で意味を確認!

“I suddenly can’t remember what we were just talking about, and it’s troubling me.”

例文2:彼の名前をど忘れしてしまい、紹介が遅れてしまった。

英語で意味を確認!

“I completely forgot his name and was delayed in introducing him.”

まとめ

「失念(しつねん)」は、日本のビジネスシーンでよく使われる言葉です。正しく理解して使いこなせるように、ぜひ覚えておきましょう。