日本のビジネスシーンでは、関係者同士の認識や意見に食い違いが生じることを「齟齬(そご)」と言います。
この記事では、日本のビジネスシーンで使える用語「齟齬(そご)」について、その意味や使われる場面、具体的な例を紹介します。

「齟齬(そご)」の意味

「齟齬(そご)」の基本的な意味

「齟齬(そご)」とは、「物事がうまくかみ合わないこと」や「意見が食い違うこと」を意味する言葉です。

具体的には、以下のような状況で使われます。

  • 計画と実行がうまくいかない
  • 関係者の意見が一致しない
  • 説明と実際の状況が異なる

英語では“discrepancy”
韓国語では“차이”

と表現されます。

齟齬(そご)が生じると、物事がスムーズに進まなくなったり、トラブルが発生したりする可能性があります。そのため、コミュニケーションをしっかりと取り、齟齬(そご)を事前に防ぐことが重要です。

「齟齬(そご)」がよく使われる場面

ビジネスシーンでは様々な場面で「齟齬(そご)」が生じる可能性があります。
例えば以下のような場面です。

1.プロジェクトの進行における認識違い

  • プロジェクトメンバー間で、目標やスケジュール、役割分担などに対する認識が異なっている。
  • クライアントとプロジェクトチームの間で、仕様や納期などに対する認識が異なっている。
  • 部署間で、業務の分担や連携方法などに対する認識が異なっている。

2. 情報伝達における誤解

  • 指示や報告が曖昧で、意図が正しく伝わっていない。
  • 文書や資料に誤りや不足があり、誤解を招いている。
  • 電話やメールでのやり取りで、ニュアンスがうまく伝わっていない。

3. 意思決定における意見の不一致

  • 会議での議論が平行線を辿り、結論が出ない。
  • 関係者間の意見が対立し、合意形成が難しい。
  • 上司と部下の意見が食い違い、業務が進まない。

4. 成果や評価におけるギャップ

  • 期待していた成果と実際の成果が大きく異なっている。
  • 自分の評価と上司の評価が異なっていて、納得できない。
  • 営業目標と達成状況が乖離している。

「齟齬(そご)」の具体的な使用例

以下に、「齟齬(そご)」の具体的な使用例を紹介します。

例文1:「会議での説明と報告書の内容に齟齬が見受けられます。」

英語で意味を確認!

“There is a discrepancy between the explanation in the meeting and the content of the report.”

韓国語で意味を確認!

“회의에서의 설명과 보고서의 내용에 불일치가 보입니다.”

例文2:「彼の報告と現状に齟齬があります。」

英語で意味を確認!

“There is a discrepancy between his report and the current situation.”

韓国語で意味を確認!

“그의 보고와 현재 상황에 차이가 있습니다.”

例文3:「面接官の期待と自己PRに齟齬があると、不利になります。」

英語で意味を確認!

“If there is a discrepancy between the interviewer’s expectations and self-PR, it will be disadvantageous.”

韓国語で意味を確認!

“면접관의 기대와 자기 PR에 차이가 있으면 불리해집니다.”

「齟齬(そご)」を使用する際の注意点

「齟齬(そご)」という言葉を使う際は、以下の点に注意が必要です。

目上の人への使用は避ける

「齟齬(そご)」という言葉は、単に意見が異なるというのではなく、情報や意見に食い違いやズレがある、つまり、相手にも認識違いがあることを意味するニュアンスがある点に注意が必要です。

場合によっては、「あなたも間違っている」と指摘しているように受け取られる可能性があるため、目上の人やビジネスパートナーなど、相手との関係性や場面によっては慎重に使う必要があります。

明らかに自分に責任がある場合は使用しない

「齟齬(そご)」という言葉は、「お互いの認識にズレがある」ということを表すため、明らかに自分が間違えている場合には使用しないようにしましょう。責任逃れをしていると受け取られかねません。
自分に間違いがある場合には「認識が間違えておりました」「申し訳ございません」のように、間違いを認め、謝罪の意を伝えましょう。

齟齬(そご)の言い換え・類語

齟齬(そご)の言い換え表現や類語を紹介します。

相違(そうい)

「相違(そうい)」は、2つの物事の内容や性質が異なることを意味する言葉です。
齟齬(そご)は「食い違い」や「矛盾」などのニュアンスを含みますが、相違(そうい)は2つの物事が明確に「異なる」という意味合いです。

例文:

  • 計画と実際の状況に相違(そうい)があった。
  • 商品説明と実際の商品に相違(そうい)があった。

不一致(ふいっち)

「不一致(ふいっち)」は、2つの物事が一致していないことを意味します。本来は一致するはずのものがうまくかみ合わず一致しない、といったニュアンスで使われます。

例文:

  • 証言者の証言に不一致(ふいっち)がある。
  • データと報告書の内容に不一致(ふいっち)がある。

差異(さい)

「差異(さい)」は、物事の間に存在する「違い」を意味する言葉です。

例文:

  • 個体差があるため、効果には差異が生じる。
  • 両社の製品にはいくつかの差異がある。

勘違い(かんちがい)

「勘違い(かんちがい)」は、自分の思い込みや解釈違いにより、事実とは違った風に理解することを意味する言葉です。

例文:

  • 説明を聞き間違えて、勘違いしてしまった。
  • 事前に確認していたため、勘違いはなかった。

食い違い(くいちがい)

「食い違い(くいちがい)」は、2つの物事が互いに矛盾していることを意味する言葉です。齟齬(そご)とほぼ同じ意味を持ちます。

例文:

  • 説明と実際の状況に食い違いがある。
  • 証言者の証言に食い違いがある。

行き違い(いきちがい)

「行き違い(いきちがい)」は、2つの物事が互いに異なる方向に向かっていることを意味する言葉です。齟齬(そご)のように、「食い違い」や「矛盾」という意味合いを含みます。

例文:

  • 時間と場所の約束で行き違いがあった。
  • 連絡が行き違いで、会うことができずじまいだった。

早とちり(はやとちり)

「早とちり(はやとちり)」は、物事をよく考えずに結論を出してしまうことを意味する言葉です。

例文:

  • 説明を最後まで聞かずに、早とちりをしてしまった。
  • 状況を正しく把握せずに、早とちりをして判断してしまった。

まとめ

「齟齬(そご)」という表現は、日本のビジネス環境でよく使われます。この表現はフォーマルな日本語ですが、正確に理解し、適切に使うことで、高い日本語の理解力をアピールできるでしょう。