外国人人材の正社員採用を検討している企業経営者、採用担当者は、以下のような悩みを持つことも少なくありません。
「外国人人材を正社員採用する方法とは?」
「正社員採用できる在留資格について知りたい…」
「正社員採用するメリットやデメリットを知りたい…」
そこで本記事では、外国人人材を正社員採用する場合の方法や在留資格の解説、メリット・デメリットについてご紹介します。
また、外国人人材が抱えやすい不安についても紹介するので、採用時や入社後のフォローに役立ててください。
外国人を正社員採用できる在留資格(就労ビザ)
外国人人材が日本で正社員として働くためには、業務内容に対応した在留資格*(就労ビザ)を取得する必要があります。
就労を目的とする在留資格や居住資格以外は、原則日本国内の仕事に就くことができないため、正社員採用は不可となります。具体的に就労が認められない在留資格は、以下の5つです。
- 文化活動
- 短期滞在
- 留学
- 研修
- 家族滞在
ただし、文化活動・家族滞在・留学の在留資格は、資格外活動許可を取得することで、週28時間以内のアルバイトを行えます。就労が認められていない在留資格の外国人を採用すると、不法就労助長罪で企業が罰則を受けるため、十分な注意を払いましょう。
ここからは、外国人を正社員採用できる在留資格について、詳しく解説していきます。
*在留資格は日本に滞在するための資格、就労ビザは日本で就労することを目的とした在留資格の通称
就労期間や条件に制限がない在留資格
労働時に職種の制限がない在留資格は、以下の通りです。
- 定住者
- 永住者
- 特別永住者
- 日本人の配偶者
- 永住者の配偶者
上記の在留資格は、日本国内における職種制限や就労時間に制限がなく、自由に仕事を選択できます。
就労を目的とする在留資格
就労を目的とする在留資格を保有した外国人は、日本国内で正社員採用することが可能です。
就労を目的とする在留資格
ただし、これらの在留資格はそれぞれ就労できる業務が決められています。認められた範囲外の業務に従事すると不法就労になり、雇用側にも罰則が下る可能性があります。
そのため、外国人を正社員採用する場合は、出入国在留管理局が公表している在留資格一覧表で活動可能範囲を確認しておきましょう。
外国人を正社員として採用するメリット
ここからは、外国人を正社員採用するメリットについて、雇用側と人材側に分けて紹介していきます。
【雇用側】
- 正社員採用だからこそ優秀な人材を確保できる
- 評価制度を見直すきっかけとなる
- 就労時間の制限が緩和される
【人材側】
- 長期雇用される可能性が高い
- 収入が安定する
外国人を正社員採用するメリット3つ【雇用側】
外国人人材の正社員採用は優秀な人材を確保しやすく、採用後は就労時間の制限が緩和されるなど、さまざまなメリットがあります。
雇用側のメリットを知っておくことで、採用活動や入社後の受け入れをスムーズに行うことができます。
正社員採用だからこそ優秀な人材を確保できる
外国人の正社員採用では、優秀な人材の確保が期待できます。日本企業の正社員採用は、アルバイトや契約社員に比べて待遇が優れており、これまで日本での就労を躊躇していた人材からの応募も期待できるためです。具体的には、以下のような点が応募を志すきっかけになります。
- 契約期間がなく、長期雇用が期待できる
- 安定した収入を得やすい
- 健康保険へ加入できる
日本で働く外国人人材の不安を払拭することで、企業側も優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
評価制度を見直すきっかけとなる
外国人の正社員採用は、社内の評価制度を見直すきっかけにもなります。企業が外国人人材の能力や成果を正しく評価するには、多様性を考慮した評価制度を構築することが求められるためです。
例えば、当人の能力や成果などを定量的に評価する等級制度の導入が挙げられます。等級制度は判断基準や結果の示し方が統一されるため、言語の壁や文化の違いがあっても公正な評価を受けられます。
外国人人材の評価基準を構築するプロセスは、結果として組織全体の評価制度を見直すきっかけとなるでしょう。
就労時間の制限が緩和される
外国人の正社員採用におけるメリットは、就労時間の制限が緩和される点にもあります。就労時間の条件が変わるのは、正社員として採用できる在留資格に切り替えるためです。
例えば、留学・家族滞在・特定活動などの一部在留資格は、労働時間が週28時間に制限されています。しかし、就労を目的とした在留資格に切り替えると、労働時間の制限が日本人と同じ条件になります。
企業は外国人人材にフルタイムの労働を任せられるようになるため、生産性の向上や人手不足の解消も期待できるでしょう。
外国人が正社員採用されるメリット2つ【人材側】
次に、外国人人材が正社員採用されることで得られる2つのメリットについて、紹介します。
長期雇用される可能性が高い
日本企業は長年に渡り終身雇用と呼ばれる人事制度を採用してきた歴史があり、海外と比べて労働者の雇用が安定しているといわれています。
実際に、労働者の権利が守られている日本では、従業員が重大な法令違反や契約違反を行う、あるいは企業が深刻な経営難に陥らない限り、解雇されることはありません。
すなわち、日本における正社員採用は長期雇用される可能性が高く、外国人人材は安心して勤務できます。
収入が安定する
正社員採用によって収入が安定する点も、外国人人材にとって大きなメリットの一つです。正社員として採用されると、アルバイトや契約社員と比べて給与水準が高くなります。
実際、賃金を雇用形態別に見ると正社員以外は216.7万円なのに対し、正社員は323.4万円と100万円ほどの差があります。
※参照:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」雇用形態別にみた賃金14ページ
前述した長期雇用されやすい環境も、収入の安定と向上を後押ししてくれるでしょう。
外国人を正社員として採用するデメリット
ここからは、外国人を正社員として採用する3つのデメリットを解説します。
- 採用工数が多くなる可能性がある
- 在留資格の確認が必要になる
- 日本の慣習や言語教育が必要になることがある
採用工数が多くなる可能性がある
外国人人材を正社員採用する場合、採用工数が増える可能性があります。在留資格の変更や、住居確保の支援を行わなければならないケースがあるためです。
先ほど触れたとおり、就業できない種類も存在するので、必要に応じて「在留資格の変更」を行いましょう。
また、海外在住の外国人を日本に呼び寄せるなら、事前に「在留資格認定証明書の交付申請」を手続きも必要です。
ここではより分かりやすく、日本人人材と外国人人材を雇用する時の採用工数を表にまとめました。
日本人と外国人の採用工数
日本人 | 外国人 | 日本人 (エージェント有り) |
外国人 (エージェント有り) |
---|---|---|---|
採用計画 | 採用計画 | 採用計画 | 採用計画 |
募集活動 | 募集活動 | 転職エージェントとの ヒアリング |
転職エージェントとの ヒアリング |
選考活動 | 選考活動 | 求人票の作成 | 求人票の作成 |
内定・入社フォロー | 内定・入社フォロー | 選考活動 | 選考活動 |
↓ | 就労ビザの取得手続き (在留資格の変更、または在留資格認定証明書交付申請) |
内定・入社フォロー | 内定・入社フォロー |
↓ | 住居の確保支援 | ↓ | 就労ビザの取得手続き (在留資格の変更、または在留資格認定証明書交付申請) |
↓ | ↓ | ↓ | 住居の確保支援 |
総工数=4工程 | 総工数=5工程 | 総工数=5工程 | 総工数=6工程 |
参照:出入国在留管理局「特定技能外国人支援に関する運用要領」第2章第3節12ページ
ちなみに、特定技能外国人の採用は住居確保を支援することが義務付けられています。部屋の広さに関する決まりなど、ルールを厳守しなければいけません。住居確保支援のルールに違反すると、出入国在留管理局から指摘や改善命令を受ける可能性もあるため、必ず事前に確認してください。
このように外国人人材の正社員採用では採用工数が多くなるため、適切かつ万全な状態で歓迎できるよう、準備期間を十分に確保しましょう。
在留資格の確認が必要になる
外国人人材の採用では日本での就労が認められているか、在留資格の確認が必要です。外国人人材が就労するためには、企業における業務内容が在留資格で定められた範囲内でなければいけません。
就労が認められているか否かは、在留資格の種類や期限などを証明する在留カードから把握できます。在留カード表面から就労制限の有無を、裏面の「資格外活動許可欄」からは就労許可が下りている特別な条件の有無をチェックしましょう。
また、出入国在留管理庁のWebサイト「在留カード等執行情報照会」を活用することで、在留カードが有効なのかもチェックできます。
「就労が認められていない在留資格だった」「在留カードが失効していた」といった状態を把握せずに雇用してしまうと、不法就労助長罪で罰則、または罰金が課されかねません。外国人人材を正社員として採用する際は、のちのちのトラブルを避けるためにも在留資格を必ず確認しておきましょう。
日本の慣習や言語教育が必要になることがある
異なる文化やバックグラウンドを持つ外国人人材を雇い入れる場合、日本の慣習や言語教育が必要になるケースが考えられます。優秀な外国人人材を採用しても、日本語レベルによってはコミュニケーションが円滑に図れず、業務に支障をきたす可能性があるためです。
言語の問題であれば社内で語学研修を行い、慣習による問題は外国人人材をはじめ、上司やメンバーに異文化研修を受講させると良いでしょう。
また、採用時のハードルを上げて、はじめから日本語の習得度が高い人材に絞り込むことも可能です。ただし、その分給与水準が高くなり、人材の母数も減少するため、慎重に判断しなければなりません。
もし、自社だけで優秀な人材を見つける自信がない場合は、日本語力が高い外国人人材が多数登録している「外国人専門の転職エージェントBluee(ブルー)」を検討しましょう。
外国人を正社員として採用する4つの方法
ここからは、外国人人材を正社員として採用する4つの方法を紹介していきます。
- 外国人向けの人材紹介サービスを活用する
- ハローワークなどの求人媒体を活用する
- 外国人留学生を正社員として採用する
- 自社のリクルートサイトで募集する
なお、外国人人材の具体的な受け入れ方法や、利用できる助成金について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
外国人採用を成功させる方法とは?求人募集から雇用後の手続きまで徹底解説
本記事では外国人採用を成功させる方法として、具体的な募集から入社後の手続きまで徹底解説します。
外国人向けの人材紹介サービスを活用する
外国人向けの就職・転職エージェントを利用することで、日本企業への就職を目指す外国人を効率的に探し出せます。
外国人向けの人材紹介サービスは、採用担当者と外国人人材のコミュニケーションに不安がある場合でも、転職エージェントが間に入るため、選考がスムーズに進みます。
また、転職エージェントに求める人材像を伝えることで、自社に適した人材を専門的な目線から選定してくれる点も強みといえるでしょう。
さらに、雇用契約成立後の手続きなどを代行してもらえるため、採用にかかる手間の削減が可能です。
ハローワークなどの求人媒体を活用する
ハローワークや外国人雇用サービスセンターなどの公的機関の求人媒体を活用して、外国人人材を採用する方法もあります。公的機関の求人媒体を利用する外国人はすでに国内に在住しており、日本での就職を希望している方が多いためです。
例えば、ハローワークにおける外国人新規求職者数は、1万人程度で推移しています。外国人雇用サービスセンターへ寄せられた相談件数は、3万件以上です。
参照:厚生労働省「外国人雇用の状況について」ハローワークにおける外国人新規求職者数の推移2ページ
参照:厚生労働省「厚生労働省における留学生就職促進に係る取組・支援策について」3ページ
公的機関の求人媒体は、求人を無料で掲載できることが魅力で、コストを抑えながら採用活動を行うことが可能です。
ただし、ハローワークなどは、外国人向けの人材紹介サービスで多い雇用契約成立後の手続き代行などのサービスは存在しません。公的機関の求人媒体を活用する際は、社内で手続きを進められる体制を整えましょう。
外国人留学生を正社員として採用する
外国人留学生は就労未経験の方が多いものの、即戦力として活躍してくれる可能性があります。外国人留学生は日本文化や社会に理解があり、日本語能力も高い人物が多いためです。
また、在学中からアルバイトやインターンとして採用していれば、企業文化や業務内容を直接伝えられるので、企業側と労働者側の双方が受け入れ体制を整えやすくなります。
ただし、正社員として採用する場合は、留学ビザから自社の業務に従事できる在留資格へ変更する手続きが必要です。貴重な人材を不法就労によって失わないよう、外国人留学生を採用する際は在留資格の変更手続きを忘れないようにしましょう。
自社のリクルートサイトで募集する
自社のリクルートサイトで募集するのも、外国人を正社員として採用する際に役立つ方法の一つになります。自社サイトはページ数やレイアウトなどに制限がなく、外国人求職者に企業の理念や事業内容、自社の魅力を存分に伝えられるためです。
すでに外国人人材が社内に在籍している場合は、インタビュー記事を掲載することで、労働環境をより明確に伝えられます。また、リクルートサイトは英語を始めとする多言語で情報を提供できるため、外国人人材が採用情報を見つけやすくなり、エントリー数の向上が見込めます。
ただし、リクルートサイトは、期待する効果が得られるまで一定の制作コストや労力が必要です。リクルートサイトでの募集は、準備や運用に必要な予算や人員を確保し、必要に応じてWebサイトの制作会社などにアウトソースしながら、中長期的な視点で進めましょう。
外国人人材が抱えやすい3つの不安
日本で就労している、あるいは就労を検討している外国人人材は就労するにあたり、さまざまな不安を抱えています。
- 評価制度の不安
- 公的手続きへの不安
- 人間関係の不安
外国人人材側の不安は、雇用者側が見落としがちなポイントでもあるため、快適な職場環境を作るためにも、しっかり押さえておきましょう。
評価制度の不安
外国人人材は文化と言語の違う日本において、自己の能力や貢献度が正しく評価されるか不安を抱きがちです。日本企業の年功序列制度が未だ根強いことは海外でも認知されており、母国が実力主義社会の場合は強いギャップを感じやすいことも要因の一つといえるでしょう。
実際に、国際留学協会の「国際留学協会アンケート」によると、日本企業へ就職することの不安材料として、「昇格や出世の機会の少なさ」が挙がっていました。
そのため、企業は評価制度の抜本的な見直しをはじめ、評価基準の透明性の確保など、不安を軽減する施策を行うことが大切です。
公的手続きへの不安
在留資格や就労ビザに関する公的手続き、銀行口座の開設などは、日本語能力が十分でないと対応が難しく、外国人人材が不安を抱えやすいポイントです。
特に正確な情報や期限内の提出が求められる公的手続きは、日本に来たばかりの外国人人材にとって難易度が高いので、企業のサポートは必須といえるでしょう。
外国人人材に対してこまめにサポートを行い、必要手続きを進めるためのガイダンスなどを提供するのもおすすめです。
人間関係の不安
新しい職場や文化に適応する際、外国人人材は人間関係やコミュニケーションにも不安を感じることがあります。
特に、外国人人材の同僚より日本人と接する機会が多い職場では、「国をまたいだ友情が築けるのか」と悩む方も少なくありません。
適切なコミュニケーションが取れずに、思い詰めてストレスを抱えると、離職する可能性が高まってしまうため、定期的な懇親会や専門のヘルプラインなどを設けると良いでしょう。
業務中はもちろん、業務外の内容でも積極的に話しかけ、できる限り不安を和らげてあげることで、パフォーマンスの向上にも繋がります。
外国人の正社員採用でよくある質問
ここからは、外国人の正社員採用でよくある質問について紹介していきます。
外国人の正社員採用は難しいですか?
外国人の正規採用は、在留資格の変更や在留資格認定証明書の交付申請などの手続きがありますが、正しい手順を覚えれば、誰でも実施することが可能です。
はじめての正社員採用で対応が難しい場合は、外国人採用に関する専門知識を持つ、外国人向け転職エージェントのサポートを受けることで、スムーズに採用プロセスを進められるでしょう。
外国人の転職希望者を中途採用できますか?
外国人の転職希望者は中途採用できます。
ただし、在留資格ごとに就労できる業務が決められているため、採用後の業務が許可の範囲内であるか確認しなければなりません。
なぜ日本で外国人の正社員が増えているのですか?
外国人の正社員採用が増えている背景として、主に以下の理由があげられます。
- 少子高齢化による日本の労働人口減少
- 日本政府による外国人の就職支援
- グローバル化への対応
総務省のデータによると日本の労働人口は1995年をピークに減少し、2050年には5,275万人に減少すると見込まれています。
この深刻な労働人口の減少に対し日本政府は、就労可能な在留資格の新設や取得条件の緩和を積極的に行い、外国人の就労を支援しているのです。
また、少子高齢化により国内市場が減少しているため、海外市場の新規参入や拡大を目指す企業が増えていることも、外国人人材の正社員採用が増えている理由といえるでしょう。
まとめ
未来を担う外国人人材の採用は転職エージェントBluee(ブルー)が支援
本記事では、外国人人材を正社員採用する場合の方法や在留資格の解説、メリット・デメリットについて解説しました。
近年、日本国内において、人手不足の解消や優秀な人材確保を目的に、外国人の正社員採用が増加傾向にあります。
外国人の正社員採用はさまざまなメリットがある一方で、受け入れ体制に課題を抱えており、雇用を進められない企業は少なくありません。
もし、自社だけで外国人採用を進められない場合は、「外国人専門の転職エージェントBluee(ブルー)」を検討すると良いでしょう。
- 就労後の定着率90%
- 登録者の91%が大学卒
- 89%の登録者がビジネスレベルの日本語を習得
「Bluee(ブルー)」はものづくりエンジニアに特化しており、企業にとって即戦力になり得る人材が多数登録しています。就業後の定着率も高いため、将来性のある安定したリソースを確保したい場合は、ぜひ「Bluee(ブルー)」にお問い合わせください。