本記事では、外国人を採用する際の注意点を6つ解説します。外国人人材を雇用したいと思いつつ、煩雑な手続きに苦戦している方には、特に役立つでしょう。外国人を採用するメリットとデメリットについても掲載しているので、ぜひ参考にしてください。
なお、外国人人材の具体的な受け入れ方法や、入社後の手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
外国人採用を成功させる方法とは?求人募集から雇用後の手続きまで徹底解説
本記事では外国人採用を成功させる方法として、具体的な募集から入社後の手続きまで徹底解説します。
外国人採用の6つの注意点
ここではまず、外国人を採用する際の注意点を6つ解説します。
- 在留資格(在留カード)を確認する
- 在留資格と日本語能力を確認する
- 外国人雇用状況の届出をする
- 給与や待遇は日本人と同等にする
- 雇用契約書や労働条件通知書の準備をする
- 風習の違いがあることを理解する
在留資格(在留カード)を確認する
外国人を採用する際は、まず在留カードに記載された在留資格の種類から就労可否を確認しましょう。そもそも在留カードとは在留資格を証明するものであり、国内滞在中に許可された活動の資格・条件・在留期間などを掲載しています。
3ヶ月を超えて在留する外国人に交付され、次のような項目が記載されています。
- 名前
- 生年月日
- 性別
- 国籍
- 地域
- 住所地
- 在留資格
- 在留期間
- 就労の可否
- (16歳以上の場合)顔写真
外国人は常に在留カードを持ち歩くよう義務づけられており、不所持の場合は不法残留者とみなされて罰則が科せられます。
2023年8月時点で就労が認められている在留資格は、19種類です。外国人人材を採用する際は、在留資格の種類から就労可否や従事できる業務の範囲を確認しなければなりません。
万が一、在留資格で認められた範囲外の労働をさせてしまうと、外国人は不法就労者として処罰対象となり、法人・雇用主等に対しても3年以下の懲役、若しくは300万円以下の罰金が科せられます。たとえその事実を知らなくても罰せられる可能性が高いため、十分に注意しましょう。
日本語能力を確認する
外国人雇用においては、日本語スキルの確認も大切です。資格関連が整っていても日本語レベルが低い場合はコミュニケーションが取れず、本来のパフォーマンスを十分に発揮できない可能性もあるためです。
そもそも日本では、ビジネスに外国語を取り入れている企業がまだあまり多くありません。その分、社外の人と接することが多い職業の場合、日本語スキルが低いとビジネスそのものがうまくいかなくなってしまいます。
また、日本語スキルが低いと従業員同士のコミュニケーション難易度も高くなり、採用後の教育内容や業務のフィードバックもなかなか吸収してもらえません。
有用な人材として育ってもらうためにも、書類審査と面接の段階でしっかりと日本語の能力をチェックしてください。
外国人雇用状況の届出をする
外国人を採用する際は、外国人雇用状況の届出を事業主が提出しなければなりません。ただし、雇用保険加入の有無で届出の様式が異なる点に注意しましょう。
外国人雇用状況の届出方法
雇用保険に加入する場合 | 雇用保険に加入しない場合 | |
---|---|---|
様式 | 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号) | 外国人雇用状況届出書(様式第3号) |
提出期限 | 翌月10日 | 翌月末 |
具体的な流れとしては、雇用形態に合致した届出をそれぞれの提出期限までに、オンラインもしくは管轄のハローワークへ提出します。
また、離職の場合、様式2号は翌日から起算して10日以内に、様式3号は翌月月末までに「喪失届」が必要となるため、もし外国人人材が退職する場合は、忘れずに手続きしましょう。なお、派遣社員として雇うケースにおいては、派遣先が届出を行います。
給与や待遇は日本人と同等にする
給与や待遇は外国人という理由で差をつけず、日本人と同等水準に設定する必要があります。
もし、特定の国や人種を理由に格差を作ると、以下の労働基準法に違反したものとして、罰則対象となります。
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない(均等待遇の原則)
たとえば、「労働時間を日本人より長くする」「有給付与日数が少ない」といった待遇は、当然違反行為となります。
そもそも「外国人=低コストで雇える」という考え方はすでに通用しません。IT業界では、日本人よりもスキルの高いベトナム人の方が高給なパターンもあるほどなので、少なくとも日本人と同等水準の待遇を設定しましょう。
雇用契約書や労働条件通知書の準備をする
外国人採用においては、雇用契約書と労働条件通知書も忘れずに準備する必要があります。無論、日本人を採用する際も作成するのですが、外国人の場合は「在留資格」の申請に必須となるため、より重要度が高いといえるでしょう。
具体的に、雇用契約書には最低限以下の内容を明記してください。
- 賃金の計算及び支払方法、賃金の締切日、支払日
- 就業の場所及び従事する業務
- 雇用契約の期間
- 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
- 退職時の注意事項
また、外国人本人が内容をしっかり理解できるよう、母国語版の書類も準備するのがおすすめです。
風習の違いがあることを理解する
外国人を雇用するのなら、風習・文化の違いには特に注意しなければなりません。
生まれた国によって考えや習慣が違うのは当然です。しかし、まったく悪意なく、時間や期限を守らなかったり、必要な報告を忘れてしまうケースがあります。
無論、日本では指導対象となる行為ですが、外国人人材が生まれた国では「ごく自然で当たり前のこと」だった場合はどうでしょう。むやみに怒るとプライドを傷つけてしまい、ストレスに繫がるかもしれません。
そのため、入社の時点で自社のルールを説明し、もし業務で支障を来した場合は、十分な理解を示した上で改善のお願いをしましょう。
また、宗教による考え方の違いにも注意が必要です。
- 1日5回の礼拝(サラー)
- 肉(豚・牛・鳥)を食べられない
- イスラム教のヒジャブ(体を覆う布)を希望する女性 など
お祈りの時間や場所の確保・社員食堂のメニューの見直し・衣服の着用規定などを、採用する外国人人材に合わせて対応してみてください。
外国人の求人募集方法
ここからは、外国人の求人募集方法を以下3つに分けて解説します。
- 自社募集をする
- 外国人社員に紹介を依頼する
- 求人サイトに紹介を依頼する
自社募集をする
自社のWebサイト・SNSで募集すれば、最低限のコストで採用活動を進められるでしょう。
ただし、運用するには一定の人員が必要となり、その分コア業務のリソースが手薄になります。また、語学堪能なスタッフがいなければ、外国人がスムーズに理解できるような求人の作成は難しいのが現実です。
外国人社員に紹介を依頼する
すでに雇用している外国人から友人・知人を紹介してもらうのも一つの手段です。
たとえば、出身学校の後輩にアプローチしてもらうことで、自社の実状や環境を解像度高く伝えてもらえるため、入社後のギャップを最小限に留められるでしょう。
雇用している外国人に知人や友人を紹介してもらう場合は、求める資格や条件に合わないことも考えられます。そのため、他の方法と並行させてリスク分散するのが一般的です。
外国人専門の求人サイトに依頼する
効率的に外国人を採用したいなら、専門の求人サイトに依頼するのもおすすめです。
外国人専門の人材紹介会社が運営しており、打ち合わせで希望の要素を伝えれば、ピッタリの人材を紹介してくれるでしょう。
他の採用方法に比べて時間や手間を省ける上に、在留資格やビザの調査がすでに済んでいる人材を確保してもらえるメリットがあります。
人材紹介会社の料金相場は「理論年収 × 30〜35%」ほどです。自社募集に比べるとコストがかさみますが、採用工程を格段に短縮できる点を考慮すれば、費用対効果は十分といえるでしょう。
もし、良質な専門業者が見つからない場合は、高い日本語能力と技術を持った外国人人材が多数登録している「外国人専門の転職エージェントBluee(ブルー)」を検討してみてください。
外国人採用の3つのメリット
ここからは、外国人を採用するメリットを3つ解説します。
- 人材不足を解消できる
- 職場に刺激を与えてくれる
- 助成金が利用できる
人材不足を解消できる
外国人人材は以下のような特徴を持っており、少子化によって若手人材が不足している日本においては、貴重なリソースとなります。
- 国外から即戦力の優秀な人材を採用できる
- 勤務態度が真面目で離職率が低い傾向がある
- 体力と気力に満ちた若手人材を獲得できる
外国人人材は、家族への仕送りや将来の夢に向けて就労を希望することが多い傾向です。確固たる目標があるので、スキルアップへの意欲が高く、向上心も見込めるでしょう。
また、離職率も低いことから、優秀かつ将来性もある若手人材を、中長期目線で育てることができます。
職場に刺激を与えてくれる
育った環境がまったく違う外国人は、日本人にないアイデアや発想力を持っており、職場に良い刺激を与えてくれます。
- 新たなアイデアによってプロジェクトがブラッシュアップされる
- 外国人人材から母国の慣習などを紹介してもらえる
- 勤勉さで周囲に良い影響を与える
たとえば、日本人にはただのルーティンワークでも、外国人人材は「さらに効率的な仕組みはないか」と疑問を持ち、改善案を提示してくれることがあります。
外国人人材を中心に異文化交流会なども開催できるので、海外志向の強い日本人スタッフにとっては、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
助成金が利用できる
外国人採用においては、数多くの助成金が設けられています。ここでは一例として、「人材確保等支援助成金」をチェックしておきましょう。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成。
【助成金額】
支給対象経費の1/2(上限57万円)(賃金要件を満たした場合は2/3(上限72万円))
【主な要件】
- 就労環境整備措置(雇用労務責任者の選任、就業規則等の社内規程の多言語化など)の導入・実施
- 離職率目標の達成等
就労環境整備計画の提出期間内に、本社の所在地を管轄する都道府県の労働局またはハローワークへ提出します。
その他の助成金については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
外国人採用の3つのデメリット
次は、外国人を採用するデメリットを3つ解説します。
- コミュニケーションを取りにくいこともある
- 手間とコストがかかる
- 外国人人材の受け入れ体制や教育が必要
コミュニケーションを取りにくいこともある
留学経験がない外国人人材は、日本語能力に自信がないケースもあります。コミュニケーションが取れない場合、雇用後の業務に支障を来す恐れもあるため、以下を実施すると良いでしょう。
- 渡日前に十分学習しておいてもらう
- 自社のルールやガイドラインを母国語で作成して共有しておく
- 就労後も日本語教育を継続してもらう
また、受け入れ側のスタッフも配慮しなければなりません。普段通りの日本語で話しかけても、ちょっとしたニュアンスなどが伝わらないので、必要に応じて翻訳アプリを使用したり、細かく説明することを心がけてみてください。
手間とコストがかかる
外国人の採用には以下のような手続きが発生するため、日本人の場合より手間とコストがかかります。
- 外国人人材の母国語に合わせた関連書類の作成
- 外国人人材の日本語スキルに合わせた教育
- 在留資格の調査
また、上記に加えて在留カードの更新にも注意した方が良いでしょう。
一部の在留資格は1年ごとの更新が義務付けられており、自社に加えて住居の管理会社や、給与振込口座の銀行にも更新後の在留カードを提出しなければなりません。その際、もし採用した外国人がスムーズに手続きできない場合は、企業側でエスコートしてあげる工程が発生します。
外国人人材の受け入れ体制や教育が必要
外国人人材の日本語教育だけでなく、従業員の日本人にも受け入れる準備が必要です。
- 挨拶などの簡単な英語を習得させる
- 業務外の内容でも積極的に話しかけるよう働きかける
- 文化が違うことを理解してもらう
先ほど触れたとおり、外国人人材はまったく違う文化圏で生きてきたことから、日本人にとって常識外に思えるアクションを取るケースがあります。
そういった場合でも決して感情的に怒ったりせず、「そもそも文化が違う」という点を考慮しながら接するように教育しておきましょう。
外国人採用の注意点に関連するQ&A
外国人採用は日本人の採用と比べて注意点や書類が多く、初めて取り組む際は迷ってしまうことも少なくありません。ここからは外国人採用の注意点に関するQ&Aを2つ紹介します。ぜひ外国人を採用する際の参考にしてください。
外国人雇用はアルバイトでも問題ありませんか?
外国人人材はアルバイトとして雇用しても問題はありません。
ただし、留学生をアルバイト雇用する場合、勉学に支障が出ないよう、1週間に28時間以内の労働時間制限が発生します。万が一オーバーすると「資格外活動許可違反」に該当して罰せられるため、厳守しましょう。
また、雇用保険の有無で届出の様式が異なる点にも注意してください。
外国人雇用の必要書類はなんですか?
外国人を雇用するには、主に以下の書類が必要となります。
- 在留資格(在留カード)
- 雇用保険被保険者資格取得届または外国人雇用状況届出書
上記に加えて、在留資格の取得のために「雇用契約書と労働条件通知書」も準備しなければなりません。もし、書類の不備が不安な場合は、転職エージェントなどに依頼してサポートを受けるのがおすすめです。
まとめ
外国人採用は注意点を熟知した転職エージェントBluee(ブルー)にお任せ
本記事では、外国人採用における6つの注意点や、メリット・デメリットについて解説してきました。
外国人の採用は書類が多く煩雑なイメージがありますが、若くハイスキルな人材を獲得できるチャンスでもあります。本記事を参考にして、さっそく求人募集から始めてみましょう。
そして、自社だけでは人材確保がスムーズに進まない時は、「外国人専門の転職エージェントBluee(ブルー)」にお任せください。
- 日本での就業経験がある外国人人材を紹介可能
- 89%の登録者がビジネスレベルの日本語を習得
- 登録者の87%が25~35歳の若手人材
上記の特徴に加え、Bluee(ブルー)は外国人人材の母国語が話せるスタッフがサポートします。書類の手続き・住居探し・入社後の定期的なフォローも行うので、外国人採用に不安を抱えている場合は、ぜひ「Bluee(ブルー)」にお問い合わせください。